MulSHIPについて

MulSHIP(Multiverse Social & Human Innovation Project)とは、仮想空間と現実空間が融合するマルチバース社会において、人々が健康を維持しつつ、多様な幸せ(Well-being)を実現できるデザインと仕組みを研究し、社会実装を進めるプロジェクトです。九州大学の総合知を活かし、イノベーションの創出と社会変革に貢献する研究拠点を目指します。

拠点長挨拶

令和6年11月吉日
樋口重和
九州大学大学院芸術工学研究院 教授

コロナ禍は世界的にオンライン環境の整備を加速させ、人類が築き上げた社会・物理環境は大きく変化しました。特にインターネット上に仮想的に構築されるメタバース空間は、時間、空間、身体性から人類を解放しました。この流れは今後も加速することが予想されることから、オンライン環境で得られた利点を併用し、現実空間と仮想空間が融合したマルチバース社会のデザインが重要です。そのためのハード、ソフトを含む利用環境構築に加え、教育やビジネスを発展させるコンテンツやサービスデザイン等が必要とされています。

一方、仮想空間での活動に関する研究は黎明期であり、利用時間が長くなると、現実空間における運動量や生理機能の低下、睡眠不足、あるいは仮想空間そのものへの嫌悪(テクノフォビア)による不適応等、様々な問題が危惧されています。従って、そのような問題が顕在化する前に、仮想空間と現実空間の融合によるメリットを最大化し、逆にそれらの齟齬がもたらすデメリットを最小化させる、未来社会の在るべき姿を科学的根拠に基づき「デザイン」することが急務です。

そこで本事業では、本学の未来社会デザイン統括本部と連携し、九州大学の持つ総合知を生かし関連企業との連携も図りながら、マルチバースデジタルコンテンツを利用するためのハードウェアや人とコンテンツをつなぐインタフェイスの開発研究を推進し(マルチバース環境・サービス構築ユニット)、マルチバース社会で生活するヒトのストレスや生理機能、快適性、感情等、コンテンツのメリット・デメリットを生理的から人類学的な視点から科学的に検証します(マルチバース社会への適応研究ユニット)。それによって、仮想と現実を往来するマルチバース社会を生きる人類が、本来の機能や健康を維持しつつ、新たな価値、多様な幸せ(Well-being)を獲得するために必要なデザインを研究・実装する「マルチバース社会デザイン研究拠点」の形成を目指します。

メンバー

マルチバースデザイン・社会構築ユニット

マルチバースの社会実装とビジネスモデル化の主導

ユニット長 松隈 浩之 芸術工学研究院 准教授 コンテンツデザイン
井上 朝雄 芸術工学研究院 准教授 都市デザイン
岡田 義広 九州大学データ駆動イノベーション推進本部 教授 3次元マルチメディアコンテンツ
尾方 義人 芸術工学研究院 教授 社会包摂
金子 晃介 九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター 准教授 情報科学
亀岡 嵩幸 芸術工学研究院 助教 バーチャルリアリティー
佐々木 玲仁 人間環境学研究院 准教授 臨床心理
高取 千佳 芸術工学研究院 准教授 都市デザイン
髙田 仁 九州大学ビジネススクール 教授 産業マネジメント
田北 雅裕 人間環境学研究院 講師 教育デザイン
富松 俊太 芸術工学研究院 助教 ナラティブデザイン
中村 直人 芸術工学研究院 准教授 XR
中山 二郎 農学研究院 教授 微生物学
福嶋 政期 システム情報科学研究院 准教授 バーチャルリアリティー
藤 智亮 芸術工学研究院 教授 機能工学
森山 智彦 九州大学病院 准教授 内視鏡学
山内 勝也 芸術工学研究院 准教授 環境音響学

適応研究ユニット

マルチバースのデータ集約・解析による適応メカニズム解析の主導

ユニット長 西村 貴孝 芸術工学研究院 准教授 生理人類
拠点長 樋口 重和 芸術工学研究院 教授 睡眠科学
伊藤 浩史 芸術工学研究院 准教授 時間生物
勝村 啓史 芸術工学研究院 准教授 分子人類
澤井 賢一 芸術工学研究院 助教 数理工学
SHIN Nakyeong 芸術工学研究院 助教 心理生理
西村 英伍 芸術工学研究院 助教 感性工学
能登 裕子 医学研究院 講師 看護学
橋彌 和秀 人間環境学研究院 教授 発達心理
早川 敏之 基幹教育院 准教授 進化人類
平松 千尋 芸術工学研究院 准教授 視覚生理
前田 享史 芸術工学研究院 教授 環境生理
村木 里志 芸術工学研究院 教授 人間工学
本井 碧 芸術工学研究院 助教 応用心理
元村 祐貴 芸術工学研究院 助教 感性科学
LOH Ping Yeap 芸術工学研究院 助教 リハビリテーション